赤津雅彦の書評コーナー
最近読んだ本について、私がコメントします。
 

「儲かる会社に変える 貧乏人の発想 金持ちの行動」 (大谷 將夫著 実業之日本社 Tel 03-3535-4441) 

【内容】
・情熱に勝る能力はなし
・貧乏人の発想、金持ちの行動
・現場に黄金が落ちている
・社員のやる気を引き出すツボ
・数字を追うな、中身を追え
・ロマンを語り、成功をつかめ

【コメント】
著者の大谷氏は、私がタカラ時代にお世話になった方です。当時から著者は、大きな声で、自分が信じることを公言される方でした。
この本でも、その当時のイメージ通りの発言をされています。不況の時代には、貧乏人の発想、つまり節約できるところはトコトン節約する。
しかし、お金が入ってくるためには、将来に向けて、お金を使うことも、もっと大事。そんなメッセージが伝わってきます。
得てして、目に見えないような財産にはお金をかけないムードがある日本に克つを入れていただいた気がします。と同時に、私が行っているような
企業のインフラ(賃金制度)づくりに、お金を投資するということへの、応戦メッセージです。この本で書かれているように、「情熱」のある経営者に巡り会いたいものです。
まさに、「情熱に勝る能力はなし」を教えてくれる、ビジネスの良書です。


「人生、遊び心」 (星野 金矢夫著 サンメッセ株式会社 岐阜支店製作 Tel 058-274-5011)                 

内容】


・生い立ちと父のこと

・トヨタさんとの40年

・トヨタを支える人々との出会い

・会長職でチャレンジしてきたこと 

・社会のお役に立てば

・出来事の舞台裏

・食べることは面白きことかな

・ゴルフも我が人生

・私を支えてくれている社員と家族たち 等


 






【コメント】

 この本は、私の知人のトヨタ系企業の経営者が刊行した著書

「トップがチャレンジした人事改革: 「溜め池人事」から「川の流れ人事」へ」の

姉妹編として書かれた本です。

 

 とくに変革期にある企業にとって、トップのリーダーシップがとくに重要です。

先日の著者の講演会で「リーダーシップとは、文句を言わせない力」と言われたことが大変印象に残りました。

 

 本書では、トヨタ系企業の経営改革に果敢に挑まれた著者のプライベートの面をユーモラスに描いておられます。

人生、いかに生きるべきか、まさに一生かけて、じっくり味わって読みたい本です。

 

「Berkeley 1900: Daily Life at the Turn of the Century」

                  



























(Richard Schwartz, RSB Books, US$19.95 )

【内容】
・バークレー(アメリカ合衆国・カリフォルニア州)の発祥
・サンフランシスコ湾での生活
・子供たち
・1900年を振り返る 
・当時の新聞記事や貴重な写真 等
 
【コメント】
 この本は、サンフランシスコの本屋で見つけました。私自身が1980年代にこのバー
クレーに住んでいたこともありますが、ついついおもしろくて、食い入って読んでしまい
ました。1900年頃のアメリカの街づくりの原型が感じられます。「先人たちの足跡」
を大事に保存し後生に伝えるといった、現代の日本が失いかけている、大事な何かを教え
てくれます。
 当時の不動産屋が出した新聞広告「バークレーハイツを最初に購入した25人には、
250ドルずつのボーナスを差し上げます。早い者勝ち。」からは、アメリカ人らしい、
わかりやすい販売促進方法が窺えます。
 
「裏から見たコンサルティング会社’97」(二宮美香著、エール出版、\1,400)
【内容】
・会社を伸ばすコンサルティング会社・ダメなコンサルティング会社の見分け方
・社員研修、管理職研修、人事・事業計画、企業戦略は本当に効果があるのか
・船井総研、タナベ経営、マッキンゼー、ボストン、会計事務所系各社の裏事情
 
【コメント】
 この本は、場末の古本屋で見つけました。「都市銀行顧問税理士の体験(銀行は所詮カ
ネ貸しなり)」(岡部 徹著、講談社、\1,500)などと同様、特殊な理由で店頭から姿を消
した類の本かもしれません。
 本来は、クライアントである企業の経営者が読むべき本ですが、コンサル業界にいる者
から見ても、大変勉強になりました。私にコンサルを依頼するような企業に、前もって読
んでもらいたい本の一冊です。「これからは本物の時代、ダメコンサルタントは捨てられ
る」は、実に言い得て妙です。
 「コンサルフィーはクライアントが決めるべきもの」、「効果が出なければ指導料は取
れない」、「コンサルタントはあくまで黒子」等、私なりに独自の哲学をもって仕事をし
ています。同業者からは、「指導料が安すぎる!」などと批判される私ですが、この本に
よって、少し勇気づけられました。
 
「96歳の大学生−やりたいことはまだまだある」(歌川豊國著、PHP研究所、\1,350)
【内容】
・痴呆症の妻を介護する ・歌川流水飲み健康法 ・排泄物を監察する
・毎日一合六尺の酒盛り ・胃ガンを克服した松茸パワー ・晴れの入学式で居眠り
・なぜ大学受験を志したのか? ・私が見た高校生気質 ・限りある身の力ためさん
・長生きするための計画書
 
【コメント】
 「目標なき人生に意味はない」といいきる著者は、130歳まで健康で生き続けること
を心から「念じて」いらっしゃいます。人生設計は、多種多様で人それぞれでしょうが、
著者のそれは、多分に戦略的です。たとえば、人生の到達時点を80歳だとすると、将来
から観て現在を逆算的に計画することの必要性を示してくれました。いつまでにこれこれ
を成し遂げたい、という「目標」を掲げ、あれもこれもというより、優先的なものの考え
方をすることになります。
 私の高校時代の先輩の福知さん(アサヒビール社長)がおっしゃった「デジタルな時代
だからこそアナログ的な訓練が必要だ」を思い出しました。著者の浮世絵師としての素養
が、デジタル時代に生きる読者をこうも感動させてくれるのでしょうか。日常に悩む経営
者にも読んでいただきたい一冊です。
 
(このコーナー、まだまだ続きます。ご期待ください。)
 

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